2013年3月21日木曜日

【8】★ローマ人の物語41~43 ローマ世界の終焉(新潮文庫)

塩野七生氏のローマ人の物語を読み終えた。大学生の頃から呼んでいるので、足かけ10年にもなる。

文庫版の最終巻の冒頭は、このように始まっている。『人間ならば誕生から死までという、一民族の興亡を書き終えて痛感したのは、亡国の悲劇とは、人材の欠乏から来るのではなく、人材を活用するメカニズムが機能しなくなるがゆえに起こる悲劇、ということである。』

衰退する西ローマ帝国に二人の司令官が奮闘する。ヴァンダル族出身のスティリコと、蛮族中の蛮族と恐れられたフン族を撃退したアエティウスである。だが、国を想って、一生懸命、働いた結果、二人とも、時の皇帝に殺害される。
こうなると、帝国は滅亡を待つしかない。

滅亡後、西ローマ帝国の領土はゲルマン系の諸民族の各王国が成立し、ゲルマン民族は、それぞれの土地のローマ人と共生するようになる。およそ半世紀後、そこに解放を掲げて、東ローマ帝国軍が侵攻を開始した。

塩野氏は、こう述べている。『戦争は、弁解の余地もない「悪」である。その「悪」に手を染めねばならなくなった軍事関係者が頭にたたきこんでおかねばらならないことの第一は、早く終える、に尽きるのであった。(下、142P)』

『十八年におよんだユスティニアヌス帝によるイタリア再復戦争も、ようやく終結したのである。ローマ帝国が健在であった時代は帝国の本国であったイタリアは、考えられないくらいの打撃と被害を受けたのであった。一世紀前の五世紀に繰り返された蛮族の来襲よりも、自分たちとは同じカトリックのキリスト教を信じるビザンチン帝国が始めたゴート戦役のほうが、イタリアとそこに住む人々に与えた打撃は深刻であったのだ。このことは近現代の歴史研究者の多くが認める事実である(下、208P)』

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